IE9ピン留め


久世光彦/「触れもせで」
久世光彦さんの作品を初めて読みました。
この本は、向田邦子さんとのエピソードを綴ったものです。

以前、向田邦子さん脚本、久世光彦さん演出、
というドラマがたくさんあったそうで、
そのときの裏話的なこともかかれているのですが、
失礼ながらそのようなドラマの存在自体すら
存じ上げない私としては
いろんな話がすべて新鮮でした。

久世さんの万年筆を向田さんが
半ば強引にもらってしまう話や、
待ち合わせに遅刻してくる向田さんのこと、
向田さんがいやに軍隊関係の知識をもってらしたことなど、
楽しいエピソード満載です。

向田邦子さんは、私が生まれる前に
飛行機事故で亡くなってしまっています。
リアルタイムで知ることができたら良かったのに…。

もうこの世にはいない方とのエピソードなので、
時折淋しさのようなものがにじみますが、
読者を悲しませるのではなく、
その切ない感じも「深み」として
文章の魅力となっているように感じました。

そしてこの本の日本語はとても綺麗なんですね。
久世さんが日本語にこだわっていらっしゃるようで、
言葉の流れがすっとしていて
読みやすく、気持ちが良かったです。
こんな言葉遣いができるようになりたいものです…。

しっとりした随筆が読みたい方、オススメです。


# by natsume100cc | 2005-11-12 22:20

フルーツバスケット 18巻 / 高屋奈月
フルーツバスケット 18 (18)
高屋 奈月 / 白泉社
ISBN : 4592178882
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高屋さんのマンガは結構好きでよく読んでいます。
フルバももう18巻ですねー・・・。

今回は真知ちゃんのお話やリンちゃんのお話が主でして、
透ちゃんがほとんど出てこないという巻です・・・(笑)。
真知ちゃんがどうして急に紙束をぐあっと投げ出したりするのか、
いろんなものをぐちゃぐちゃにしてしまうのか、が分かります。
ああ、こういうことだったのか・・・と。
リンちゃんのお話は、17巻を読まれた方は分かると思いますが、
17巻のあとリンちゃんはどうなったのかというもの。

以下、ネタバレです。
まだお読みになっていない方、話を知りたくない方は
お手数ですがスクロールしてください。


真知ちゃんの行動は、「完璧」を求められた反動だったのですね。
真っ白に積もった雪は「完璧」を連想させてやりきれないから、
その上をわざと足跡だらけにした、というエピソードが印象的でした。

個人的には、リンちゃんは髪の毛が短くてもいいなって思いました。
ま、マンガですからね・・・。みんな美人。

っていうかアキトさんは監禁好きですね・・・。

今回は何気にプリ・ユキの皆川さんがとってもいい味でした。
皆川さんのように、幸せな思いをさせてくれてありがとう、
と素直に言ってみたいもんです。
直くんの好きな人は皆川さんだったのにもびっくり。


さて。19巻は2006年1月発売。
コミックス派の私はそれまでおあずけです。

# by natsume100cc | 2005-09-17 01:24 | マンガ

「号泣する準備はできていた」/江國香織
 久々の本棚更新です。

 今回は、江国香織さんが直木賞を受賞なさった作品、
 「号泣する準備はできていた」の感想文を書こうと思います。

 私は江國香織さんの作品が好きで、結構読んでいます。
 最近は、「東京タワー」が映画化されて話題になりましたよね。
 私がいちばん好きなのは、「ホリー・ガーデン」という
 もしかしたらちょっとマイナーな作品ですが、
 その話は置くとして。

 江國香織作品には、彼女にしか書けない空気が
 やどっているように思います。
 そしてもちろん、この本もそうでした。
 この本は短編集になっています。
 あとがきで江國さんご本人がおっしゃったように、
 ドロップの缶のような本でした。
 1つ1つ独立していて、全然違うんだけど、
 でも持っている空気は大体一緒、という感じがしました。

 女性同士のカップルの話や、
 義理のお母様と旅行に行く女性の話、
 ホストファミリーとなる話、
 親友夫妻の前でする夫婦喧嘩、
 離婚を決めていながら
 それを隠して相手の家族に会いに行く夫婦、など。
 日常のどこにでも転がっていそうな、
 淡々とした設定だけど、どこか日が陰っているような。
 ほんとに普通なんだよね、と思います。
 でも、江國さんの手にかかると、
 なぜか詩的に見えてくるから不思議。

 あたしもう泣く!っていう瞬間って、あると思うんです。
 糸を張りつめたみたいな、ぎりぎりの感覚。
 そうだからってとても悲しいんじゃないんだけど、
 でも泣き出してしまいそうっていう状態。
 その瞬間をうまく捉えて、
 お話にしていったら、こうなるのかしら。
 そんな本でした。 

 江國作品はどれも読みやすく、はずれがないと思うので、
 読んだことのない方は、手にとってみると面白いかもしれません。
 この本のような短編集は、気軽に読めてよいですしね。
# by natsume100cc | 2005-06-26 22:58 | 小説

「光の領分」/津島佑子
 ずっと読みたかった太宰治氏の娘さん、津島佑子さんの短編集!
 数年前、大学入試センター試験に出題された『水辺』も収められています。

 この短編集は、短編の連作という形が取られています。
 つまり、短編集なんですが、1冊通して主人公は同じです。
 だんなさんとの別居が決まった女性が、一人娘とともに新しい生活を
 はじめるところから、このお話はスタートします。
 
 「どうようもない」というか、「救いようが無い」という空気を
 持つ作品だな、と感じました。何か大きな事件が起きるわけではないんですが、
 母親と子供の日常を、とても丁寧に描写していくなかでストーリーを魅せていく
 というテクニック。
 世間が理想としている母親像とは離れた女性が
 それでもなんとか日々を過ごしていきます。
 子供は少しずつ成長し、母親との折り合いが悪くなったりもします。
 ふととなりの路地を見れば、実在しそうなくらい、
 現実感のある母子の生活が描かれていました。

 裏表紙に、この作品を形容して“融け出すような不安”という言葉が
 ありましたが、まさにその通り。
 どろっとして、感情と感情の隙間からすーっと出てくるような不安。
 それに母子が泣いたり怒ったりする。
 それが正しいとか正しくないとかじゃなくて、
 動かしようの無い彼女たちの「現実」なんだろうなと感じました。
 
 よくある親子の物語のように、
 すべてが完全な円を描いていかない。
 そんなところが逆にリアルで、私は好きでした。

 この作品は1984年に発表されたもので、
 だいぶ古いので入手は難しいかもしれませんが、
 図書館にはあるとおもいます。
 なんといっても津島佑子さんなので…。

 是非読んでみてください。
# by natsume100cc | 2005-05-01 00:00 | 小説

「うつくしい子ども」/石田衣良
この本の作者の石田衣良さんは、
「池袋ウエストゲートパーク」を書かれた方です。
2003年には、「4TEEN」で直木賞を受賞なさっています。

さて。
この「うつくしい子ども」という作品の特徴のひとつは、
ミステリーのような形を取っておきながら、
本についている帯に、犯人が誰かが書いてあるという点にあります。
実際、この作品のなかでは猟奇殺人がおき、
事件の真相を解き明かしていくということが
物語の重要な軸になっています。
こういう場合、犯人は読んでみてのお楽しみ、というか、
犯人探しを含めて物語を楽しむ構成になっていることが
多いのではないでしょうか。
書店でお手にとっていただければわかることですが、
犯人は主人公の弟です。

この作品では、主体的に語る人物が2人います。
ひとりの主人公は、植物が大好きな少年。
フィールドワークも得意で、その能力を認められて、
有名中学に入学できたほどです。
そしてもうひとり、忘れてはならない主人公は、新聞記者の男性。
まだ入社してそれほど経っていない、新米の部類に入る記者です。

こうして視線や思考を違う方面からむけることで、
事件の全貌がよりわかりやすく、現実的に描き出されています。

ラストは、思いがけない事実の判明とともに描かれます。
え、そんなことってあるの?みたいな驚きがありました。
権力(マスメディア)対被害者・加害者という視点も
きちんと織り交ぜられたラストは圧巻です。

全体の印象としては、読みやすくてわかりやすい文体でした。
内容は決して明るくはないけれど、ラストまでの展開が
鮮やかで、私としては好きな作品でした。
# by natsume100cc | 2005-04-01 00:00 | 小説
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by natsume100cc
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