久世光彦さんの作品を初めて読みました。
この本は、向田邦子さんとのエピソードを綴ったものです。
以前、向田邦子さん脚本、久世光彦さん演出、
というドラマがたくさんあったそうで、
そのときの裏話的なこともかかれているのですが、
失礼ながらそのようなドラマの存在自体すら
存じ上げない私としては
いろんな話がすべて新鮮でした。
久世さんの万年筆を向田さんが
半ば強引にもらってしまう話や、
待ち合わせに遅刻してくる向田さんのこと、
向田さんがいやに軍隊関係の知識をもってらしたことなど、
楽しいエピソード満載です。
向田邦子さんは、私が生まれる前に
飛行機事故で亡くなってしまっています。
リアルタイムで知ることができたら良かったのに…。
もうこの世にはいない方とのエピソードなので、
時折淋しさのようなものがにじみますが、
読者を悲しませるのではなく、
その切ない感じも「深み」として
文章の魅力となっているように感じました。
そしてこの本の日本語はとても綺麗なんですね。
久世さんが日本語にこだわっていらっしゃるようで、
言葉の流れがすっとしていて
読みやすく、気持ちが良かったです。
こんな言葉遣いができるようになりたいものです…。
しっとりした随筆が読みたい方、オススメです。